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大ナゴヤノート.
立松さん
2019年07月24日

みんなでつくりあげるモノ -茅葺き古民家をなおす人 立松昌朗-

“茅葺き”と聞いて、みなさんはどこを思い浮かべるでしょうか?

岐阜県の白川郷や、富山県の五箇山は有名ですよね。文化遺産にも、観光名所にもなっている茅葺き。“文化遺産”と聞くと、暮らしとは縁遠いものだと感じる人もいるかもしれません。しかしながら茅葺きは、実際には私たちの身近にあります。

そう気づくきっかけをくださったのは、今回、取材させていただいた立松昌朗(あつろう)さんです。普段は名古屋で会社員として働きながら、岐阜県恵那市で茅葺き古民家の屋根を葺きなおしています。休日などを利用して、月に何度も地元である名古屋から恵那まで通い、活動しています。どのような経緯で、茅葺きに関わることになったのでしょうか?

きっかけは、恵那市にある一軒の壊れそうな古い茅葺き屋根のおうちでした

※ この家は現在「茅の宿とみだ」という宿泊施設になっています。 (茅の宿とみだWebサイト https://www.kayanoyado.jp/)

立松さんは、以前は毎年、お父さんと一緒に恵那の酒蔵の蔵開きに足を運んでいたそうです。お父さんが亡くなってからは、訪れる機会が減っていたといいます。大学生のとき、恵那で田んぼを借りてお手伝いするようになり、久しぶりに岩村を訪れ散策していると、この壊れそうな一軒の古い茅葺き民家に出会いました。

当時、地域の人たちは協力してこの家を直したいと思っていました。地域の人たちが、大工さん、左官さんなど、修繕に必要な力を持つ人を探す中で、屋根葺きさんだけがいなかったんです。茅葺き職人は愛知県にはもういなくて、岐阜県にも飛騨にしかいない状況でした。地域の人たちも役所の人たちも、誰に頼めばいいのか見当がつかずにいた。

そんなとき、田んぼの関係でつながった市の職員さんからこの悩みを聞きました。「実は私、たまに茅葺き職人さんのお手伝いをしています」と話すと、「立松さん、やってもらえませんか?」となったんです。それでお世話になっている職人さんをお呼びして、一緒に屋根葺きすることになりました。本当に偶然ですね。

この家に関わった後、今は友人の実家の茅葺きを「恵那茅葺きプロジェクト」としてスタートさせ、誰でも参加できる場にしています。職人さん、茅葺きが好きな人、茅葺きの家に住んでいる人や住みたい親子、古民家が好きな外国の方、建築を学ぶ大学生など、さまざまな年齢や立場の人が参加しています。

茅葺きをやっているとまたそこで新たな出会いがあって、つながりが広がっていくんです。みんなでやるから楽しくて、それがいい。普通は職人さんしか触ることができない茅の屋根も、ここは大人も子どももみんなで屋根葺きができるからね。もちろん職人さんしかできない部分もあるけれど、職人でなくてもできるところはある。そういうみんなでつくる場所って今では少なくて、大切なんです。

地元の人も、地元以外の人も、それぞれにできることや得意とする役割があります。一人ひとりの良さを尊重し、活かし合える関係が様々な場所で築くことができたら素敵ですね。

仕事ではないけれど全力でやる、全力で楽しむ立松さん。

みんなでひとつのものをつくりあげることは本当に素敵だと思うんですよ。田植えや茅葺きみたいに、子どもから大人まで、国籍も問わずにみんなで一緒にできる場所をこれからも作っていきたいし、広めていきたいんです。茅葺きの葺き替えが落ち着いたら、また田植えの企画とかもしたいと思っています。

日本の文化や伝統など昔から受け継がれてきたもの、そして未来へ受け継いでいきたいものは、私たちが暮らす地域にもたくさんあります。昔ながらの家づくりを知り、その技術を体感する機会が子どもの頃からあるならば、もっと私たち一人ひとりにとって、より身近で大切なものになるのではないかと思います。

老若男女、国籍問わず、みんなが関わることができる場所が、あたりまえになったらいいですね。今後の活動や企画も楽しみです。

集合写真

【恵那茅葺きプロジェクト Webサイト】
今後の情報は下記のサイトで発信されます。興味がある方はご覧ください。
http://iezukuri.strikingly.com/

ゆうこりん

ゆうこりん

岐阜県生まれ、岐阜県育ち。大学時代に大ナゴヤ大学と出会い、まちやそこに関わる人の面白さに気づく。専攻していた国際交流を通して性別、年齢、国籍問わずもっと様々な人が関わるまちづくり、場づくりをしたいと思うようになる。趣味は写真と音楽と旅。大ナゴヤ大学のそうぞう室で活動中。
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