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大ナゴヤノート.
2019年09月18日

「名古屋が本気で一番、大好き!」地方出身の建築家兼カフェオーナーから見つめたまちの魅力
-「実家カフェ山田」オーナー 近澤優子-

皆さんには地元と言えるまちはありますか。

生まれてからずっと同じ地域に住んでいる人はもちろん、生まれた場所は違っても、小学校など幼少期からの記憶があれば、地元意識が芽生えた人もいるでしょう。

では、私が「あなたの地元はどこですか」と聞かれたら、答えに詰まってしまいます。それは子どもの頃から転校や引越しを繰り返していたからです。

社会人になってからは名古屋で暮らしていますが、せっかくなので、ここを地元にしようと考えました。しかし、どうすれば地元になるのか、見当もつきません。そこで、他県から名古屋に移り住んだ方にお話を聞いてみようと思います。

取材を受けてくださったのは、「名古屋が本気で大好きで一番住みやすい!」と語る高知県出身の近澤優子さん。建築家として働くかたわら、名古屋で鰹のたたきなど高知料理を提供する実家カフェ山田を運営しています。そんな近澤さんに「地元のつくり方」を、伺いにいきます。

まず、高知県で生まれ育った近澤さんは、どのようなきっかけで名古屋に住むようになったのでしょうか。

きっかけは大学進学です。子どもの頃からモノをつくるのが好きで、例えばリカちゃん人形のドレスを自分で仕立て、ダンボールや粘土を使って、家をつくっていました。そういった経験から自分の軸が建築にあると気づき、名古屋にある大学でしっかりと学ぼうと決意しました。

大学卒業後は名古屋に残り、建築設計の仕事をしながら世の中に表現できることはないかと思っていた近澤さん。建築の世界を歩む中、どのような転機が訪れ、「実家カフェ山田」の運営を始めようと思ったのでしょう。

もともと、ここは学生時代に私が住んでいた家でした。古い家が好きで、友達の家族が持っていた古民家を借りていたんです。卒業してからは、会社で働きながら、そこでシェアハウスをやっていました。そのあと、もっとたくさんの人に、この家の魅力を伝えたいと思って、カフェへの改装を決めました。

お店の名前の由来は近澤さんにとって、名古屋の「実家」のような場所にしたいという想いから。「山田」は感謝の気持ちの表れなのかもしれません。家主の方の名前です。

たくさんのお話を聞く中で、食事や方言など多岐にわたって独自の文化を持つ名古屋の姿が見えてきました。とりわけ、コミュニケーションに大きな特徴があるというお話が印象的でした。

名古屋の人は、はっきりと「いいえ」と言わないんですよね。「良いよ」という言葉を絶妙な言い回しでOKとNOで使い分けている感じ。優しい方々が多いからですかね。なので、会話の中から態度や微妙な言葉のニュアンスを汲み取るように心がけています。それから、近隣の方々から器や竹竿、お菓子など、いろいろなものをいただけるのには驚きました。これは「もうやこ」といって、みんなで「仲良く分ける」文化なのだと教わりました。

人とのつながりを大切にする地域なのですね。他にもネットの評価のような顔が見えないものより、信頼できる人から紹介してもらう方が「分かりやすく」て安心なようです。

新しいものに対して不安を覚える方が少なくないという近澤さん。地域の人たちが安心して受け入れられるように、仲介者としての役割を果たしています。どのような取り組みか、聞いてみました。

ここでは、絵本の朗読会などの交流会をやっています。人とのつながりを重んじる名古屋では、こういった地域に溶け込む活動が、お店の雰囲気や私の考えを知ってもらう表現の場になったんです。今では、家のリノベーションや独立してお店を開きたい人など、いろんな人が相談に来てくださるようになりました。

近澤さんは建築家としての仕事やカフェの運営など、毎日とても忙しくされています。「これだけ地域の人のために力を尽くせるのは、やっぱり名古屋を地元のように感じているからですよね⁉」と聞いてみると…

うーん。名古屋は大好きだけど地元とは少し違いますね。どちらかというと、他県の出身者だけど地元の人並みかそれ以上に詳しい感じ。でも、他県で育ったからこそ、別の角度で物事を考えられるのかな。名古屋の周りにも、まだまだ知らない地域があるので、もっとたくさんの魅力を知って自分なりに貢献できれば良いなって思っています。

まちには、昔から住む人にとってはごく自然な習慣があります。一方、他の場所から移り住んだ人は、それらを「文化の違い」として感じ取り、「素敵な習慣」と捉える機会に恵まれます。これまで私は地元を持っていないことに対して、どこか寂しさがありました。ですが、近澤さんにお話を聞き、私は引越しを繰り返し、さまざまな場所に住んだ経験を通して、文化を比較するための多くの地域を得ていたのだと気づきました。「自分の人生だからこそ、得られたものがある」と目の前の状況をポジティブに考え、名古屋の生活をもっと楽しんでいきます。

ジェイ

大阪府生まれ。小学生で神奈川県へ。東京の大学を卒業し、就職後、名古屋へ配属される。子どもの頃から引っ越しを繰り返し、地元愛を感じられる場所を持たないため、愛知を地元にすべく、大ナゴヤ大学のボランティアスタッフとして活動中。
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