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大ナゴヤノート.
2020年08月05日

「大ナゴヤノート.」のこれまでを振り返って。まちの魅力発信の裏側にあるエディターたちの学び合い。

2019年3月の開設から1年半を迎える「大ナゴヤノート.」。準備期間を含めると、チームとして活動し始めてちょうど2年ほどです。私たちの大ナゴヤノート.は、まちの面白いヒトモノコトを伝えるメディアであると同時に、書くことを通してメンバーが成長できる「学びの場」にもなりつつあります。そんな大ナゴヤノート.の編集チームの裏側をちょっとのぞいてみませんか。メンバーたちがどのように自分たちのまちへの気づきを書き記してきたか、ご紹介します。

ライター集団ではなく、全員がエディター

「まちを見つめて 書きとめて」。このコンセプトに、私たちの目指すメディアの形が表されています。なによりも書き手が「面白い」「いいな」と感じたことを、ありのままに伝えたい。素直な言葉で書きとめられた誰かの発見が、「もっと違う目線でまちを見つめてみたいな」と誰かの視点を少し変え、ワクワクできる感覚の連鎖が生まれる出発点になってほしいという思いから、この合言葉が決まりました。

もうひとつの私たちのチームの特徴は、全員がエディター(編集者)となること。一人ひとりが「どんなテーマで、どんな情報を、どんな構成と言葉で伝えるか」決め、その目的を達成する記事を執筆し、編集することにしました。開設当初から編集会議では、記事にどんな思いを込めたいかを引き出し、その思いが本当に伝わるか否かを全員で吟味しています。

エディターのひとり、いとうえんさんはこう振り返ります。

議論が行ったり来たりする場面もありますが、メンバーがそれぞれに「より良いものにしたい」って思いがあって、それが織り交ぜられながら形になっていくのが、すごく面白くて。記事内容のチェック時も、それぞれが「こうしたら良くなるのでは」という視点で、いろんな意見を出しています。時間はかかりますけれど(笑)、いつも刺激的ですね。(いとうえん)

そうなんです。記事のネタを出す段階から全員で興味関心を掘り下げ、記事の形ができ始めてからもひっきりなしに意見を出し合うので、1本完成させるまでに相当の時間をかけています。それが今どきのWebメディアとしてはスローな、隔週1本更新のペースの理由。この本音で本気のコミュニケーションが「学びの場」の土台になっていきました。

日常のフィールドが異なるメンバーだからこその学び合い

「学びの場」大ナゴヤノート.について、はじめて執筆・編集を経験するメンバーはどう感じているのでしょうか。ジェイくんに聞くと、

大ナゴヤノート.でエディターとして活動することを決めたとき、きっと茨の道になるだろう、と感じました。文章の作成に自信があるわけではない。けれど、自分の考えや想いを発信できるようになりたい、そんな想いでした。
いざ挑戦してみると、予想していた通り苦難の連続。作成した原稿を編集会議に提出すれば、次々と赤入れ*され、あっという間に真っ赤に。「構成から考え直したほうがいい」「この表現じゃ、伝わらないよ」…ようやく記事が完成し公開されたのは、取材して5ヶ月が経った頃です。
記事を1本書くのがこれほどまで大変だとは思いませんでした。でも、公開に至ったときの達成感は忘れられません。(ジェイ)

*「赤入れ」:文章の添削を意味する編集用語。

「あっという間に真っ赤に」という言葉からは、いかに手加減のないやりとりが繰り広げられているかが窺えると思います(笑)
先日、初めての記事が公開となったゆみさんは、

大ナゴヤノート.の「自分で書く題材を決め文章を構成する」エディターに新鮮さと面白味を感じ、挑戦を決意。しかし、いざ初めての記事の執筆に取りかかると、これが書けないのなんの。自分がなにを一番書きたかったのかすらわからなくなる始末。初稿を出すのも先延ばしにしてしまい、やっとのことで迷いながら出した文章に、ほかのエディターからたくさんのコメントが…。言葉の誤用や、同じような表現の連続を指摘してもらい、言葉選びの難しさをつくづく思い知りました。人の文章にコメントを入れるのは、労力のいること。みんなからのコメントを受け止めるのはツラくもありますが、私にとって、大ナゴヤノート.は多くの気づきを得られる大切な学びの場です。(ゆみ)

「人の文章にコメントを入れるのは、労力のいること」というコメントはまさにその通り。記事の目的を共有した上で、執筆者の意図をきちんとくんで前向きな指摘や提案をするのもなかなか大変です。大ナゴヤノート.は、そうしたスキルを学び、磨く機会にもなっています。とはいえ、書き手にとっては決して易々とクリアできないのもまた確かで。チームの中から見ても、ストイックなやりとりだなぁとも感じます。

大ナゴヤノート.には、書くことや編集することを仕事にしているメンバーもいます。では、ここでいう「学びの場」とは、経験豊富なメンバーが初心者メンバーに、知識やテクニックを教えたり、原稿の気になる点を指摘したりする構図が主となるのかというと、必ずしもそうではありません。一口に「プロ」といってもそれぞれ関わる業界や取材の対象、媒体の種類などはばらばら。脇田さんは、フィールドの違いから生まれる学びもあるといいます。

私も仕事として執筆や編集に日々携わっているひとりですが、異なるフィールドで仕事をする彼らの発言や原稿への赤入れに、なるほどと思わされることは多々あります。あるいはまた、我々にとっては当たり前になっているようなことを、執筆経験の少ないメンバーから素朴な疑問としてぶつけられ、改めて立ち止まって考えるきっかけになることも。編集チームでのやりとりを重ねれば重ねるほど、編集という業の奥深さを実感し、ますます面白く感じています。(脇田佑希子)

執筆者として自身の原稿に指摘をもらうときはもちろんのこと、他のメンバーの原稿に対する別の誰かのコメントからも気づきや学びが生まれる。そんな学びの瞬間が繰り返されるのが大ナゴヤノート.の編集風景です。

「大ナゴヤノート.」での挑戦と学びを広げていきたい

大ナゴヤノート.での、書くことや編集することを通した学びを広げるとともに、一緒に活動してくれる仲間を募ろうと「『大ナゴヤノート.』的編集の教室」という編集講座を2回実施しました。1回目は取材でのコミュニケーションについて、2回目はお互いに文章を編集し合う方法について。この講座を経てエディターに加わった(記事デビューはまだ)大学生の北川くんは、人と文章を見せ合ってみて感じたことについて語ってくれました。

私が書いたテーマは「昭和日常博物館で昭和デート」。隣になった参加者に読んでもらうと「昭和デートという切り口で博物館を紹介するのは新鮮だね」と自分の書いた記事を面白がってくれました。それがとてもうれしくて、もっと多くの人にまちの面白がり方を届けたいと思うようになりました。(北川)

自分が「面白い」と感じたものを読み手の発見へと変える。大ナゴヤノート.のエディターの醍醐味を感じとってくれたようですね。

チャレンジしたい人の背中を押す「大ナゴヤ」の風土

大ナゴヤノート.開設のそもそものきっかけは、大ナゴヤ大学開校10周年を機に、まちの魅力を表現する新しい媒体をつくりたいという声でした。東海圏の面白いヒトモノコトを掘り起こし、ともに知り、考え、気づきを得る場を「授業」として実施してきた大ナゴヤ大学。これまで発見してきたまちの面白さをアーカイブするとともに、授業とは異なる方法でまちを楽しむを視点を広げようと考えたのです。けれど、走り出してみると、書くことにチャレンジしたい多様な人どうしの学び合いの場ができた。その根底には、大ナゴヤ大学が培ってきた風土があると小林さんはいいます。

チームの立ち上げから2年、「Webメディアで記事を書いてみたい」「書きたいネタがある」「仕事とは別の“書く場”が欲しい」と、意欲を持った仲間が集まっています。学校や仕事以外では文章を書く機会はほぼない、でもやってみたいという人も少なくありません。今、改めて振り返ると、こんなチームのでき方も、大ナゴヤ大学らしかったのかなと。開校から一貫して大切にしてきたのは、参加する人の「やってみたい」を軸に、日常の生活や仕事ではできない挑戦を後押しすること。「書いてみたい」という気持ちがあれば仲間になれる。まちを舞台に活躍するきっかけづくりを応援する気持ちが根っこの部分にあります。(小林優太)

彼らの言葉に表れているように、大ナゴヤノート.ではエディター一人ひとりが新しい気づきに成長を感じながら活動しています。これからも互いに学び合いつつ、たくさんのまちの「面白い」「いいな」を発信し続けたいと思います。

こんな私たちに仲間入りしたい、エディターになりたいという人も大歓迎!興味を持ってくださった方はお問い合わせください。

文章/小林優太、脇田佑希子
写真/大野嵩明

大ナゴヤノート.編集チーム

大ナゴヤノート. 編集チーム

「まちを見つめて、書きとめて」をコンセプトに、2019年3月にスタートしたWebマガジン「大ナゴヤノート.」。まちで「いいな」と感じたヒトモノコトを、編集者がそれぞれの目線で書きとめています。
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