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大ナゴヤノート.
2019年10月16日

まちでしりとりしたら、多彩な個性が見えてきた
-「つなげて集めて、まちを歩こう!円頓寺・四間道でしりとりさんぽ」を終えて-

2019年8月、大須のまちで「大須でしりとり。文字さんぽ」という授業を開催しました。これは、まちなかの看板などから文字を拾い、しりとりしながらまちを歩くというもの。普段は意識しない場所に目を向けてみると、これまでとは別のまちの顔を発見できました。

「これは面白い!ほかの場所でもやってみたい!」
という声もあり、西区の円頓寺商店街と四間道で、第2弾となる「つなげて集めて、まちを歩こう!円頓寺・四間道でしりとりさんぽ」を9月14日に行いました。
スタッフとして参加した私の視点からレポートします。

はじめに少しだけ、大須でのしりとりさんぽの様子を振り返ってみましょう。
「自分の中でしりとりになっていればOK」というゆるめのルールの中で、参加者さんたちはそれぞれが個性的な文字の探し方をしてくれました。

なかには、このように発想力を存分に発揮してくれた人も。
(しりとりの画像はすべて、左上から右下へ順番につながっています)


「大須」の「す」からスタート→(1)御朱印帳の文字の「墨」の「み」→(2)「味噌にこみ たから」の「ら」→(3)「Rakuten」の「N」→(4)「仁王門湯(Nioumonyu)」の「ゆ」→(5)若者たちの「友情」の「う」→(6)裏門前町大通の「お」?(笑)→(7)「おへやさがし」の「し」→(8)「ジンジャーエール」の「エール」→(9)武蔵丸親方に「エール」を送る

「なんて自由で個性的な!」と参加者さんに衝撃を与えた作品です。私もこの授業に参加していて、いきなり文字ではなく「墨」から始まるしりとりに、「こんな方法もあるんだ!?」と驚きを隠せませんでした。
今回の授業では、さんぽを始める前にこうした大須での例をご紹介。参加者さんに自由に個性を発揮してもらいたいという思いも込めてスタートしました。

授業の最初に、大須での「しりとり」の例を紹介しました。型破りな前例が、どんな影響を与えるのかワクワク。

さて、今回のしりとりは、「円頓寺商店街」の「い」から。ルールは、「しりとりっぽくなること」と「写真で撮影する」のふたつだけ。言葉をどうつなげるかは自由。文字だけでなく、動作や気持ち、目に映るものや心で感じたことなどすべてが対象です。

円頓寺商店街へと繰り出していく参加者さんたち。

私自身も参加者さんと一緒にしりとりを考えながらまちを歩いてみました。なにをテーマにしようかなかなか決まらず、スタンダードに看板の文字を探してうろうろ…
すると、ふと親子で参加してくれた方の姿を見て、「こんなふうに親子愛あふれる姿をしりとりに使ってみたら、ほっこりしそうだな」とアイデアが浮かんできました。撮影をお願いすると快くOK!

「親子の愛情」という言葉で使おうとしたところ、要望により「美しい女性」に変更になりました(笑)

これをきっかけに「まちにいる人を題材にしてみたい!」とテーマが定まりました。文字ではありませんが、全然問題なし。見知らぬ人に声をかけるのは不安もありつつ、本職が営業職なので「スキルアップの良い機会!」とポジティブに考えて、思い切ってお願いしてみることに。

まちを歩いていたカップルにも写真をお願いしました。恥ずかしがりながらも腕を組む仲睦まじい姿が「愛情」という言葉でしりとりに入っています。
(この写真は記事には掲載しておりません)

イベントのボランティアのスタッフさんも写真を撮らせてもらいました。

こうして完成した私のしりとりはこちら!

「円頓寺商店街」の「い」→(1)ITALIA SAKABAの「BA」→(2)「BAR」の「AR」→(3)「ARANCIA」の「A(あ)」→(4)「あらいびと(ARAIBITO)」の「O」→(5)「OKINAWA SOBA」の「A(あ)」→(6)「愛情」の「う」※写真はなし→(7)金鯱の「うろこ」の「こ」→(8)「COMO HOUSE(コモハウス)」の「す」→(9)「スタッフ(SUTAFFU)」の「U(う)」→(10)「美しい女性」

 

参加者さんたちのしりとりもいくつかご紹介しましょう。

こちらは、お店の看板や電話番号などを使って、番号順につなげた「番号しりとり」。

 

親子3人でつくったお子さんをメインにしたしりとり。家族で一緒にゆっくりとまち歩きを楽しんでみようと思ったそうです。

 

「円頓寺商店街に初めて来た」という方のしりとり。文字を追いかけながら歩いてみると、商店街に神社があることに気づいたり、「おもかる石」という言葉から追いかけたら縁結びのご利益があることを知ったり。しりとりというちょっと変わった状況だからこそ目が向いた場所もあったのかもしれませんね。

このように、今回も皆さんオリジナリティあふれるしりとりを完成させてくれました。一人ひとりが型にはまらず、自分らしいテーマを持って取り組んでくれたのが印象的でした。

人は誰でも他の人とは違う、自分らしさを持っています。でも、子どもの頃から知らず知らずのうちに、周りのルールや振る舞いに合わせて、自分を抑えていることもあるように思うんです。このしりとりさんぽは、固定観念をひっくり返すような他の人の発想もヒントに、みんなが安心して自分の思いつきを発揮できる場になるのではないかと感じました。また、それぞれに積み重ねた小さな経験を楽しくシェアできるのも良い。「僕には思いつかなかったよ」「それ面白いね!」と肯定する言葉をかけ合うのも、お互いの自信を高めることにつながると思います。

私自身、仕事で後輩を指導するときなど、どうやって個性を活かすか頭を悩ませるものです。今回の授業のように、安心して「自分らしさ」を引き出し、受け止められるコミュニケーションを大切にしたいと、日々の暮らしへの教訓も得られました。

皆さんもぜひ一度ご一緒に、しりとりさんぽに出かけませんか。

写真撮影/ジェイ、授業の参加者の皆さん

ジェイ

大阪府生まれ。小学生で神奈川県へ。東京の大学を卒業し、就職後、名古屋へ配属される。子どもの頃から引っ越しを繰り返し、地元愛を感じられる場所を持たないため、愛知を地元にすべく、大ナゴヤ大学のボランティアスタッフとして活動中。
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