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大ナゴヤノート.
2020年12月16日

初「まちあるき」で知るまちの魅力の見つけ方
-「うえを向いて歩こう。瓦さんぽ@蟹江町」を終えて-

2020年11月28日は、1年以上ぶりのオープンノート.の開催日。外に出たくてうずうずしていたエディターたちが待ちに待った「遠足」です。実は私、テーマを持ってまちを歩き気になるものを見つける「まちあるき」に参加するのは初めて。さらに、瓦についての知識はほとんどなく、どこをどう見ればいいかもよくわかりませんが、ワクワク感ハンパない瓦さんぽの始まりです!

今回の瓦さんぽは、大ナゴヤノート.のエディターで、知識豊富な瓦女子でもある脇田さんが、近鉄蟹江駅からJR蟹江駅方面へ10か所以上の瓦スポットをナビゲート。名古屋駅から近鉄の準急に乗ると、あっという間の約8分で近鉄蟹江駅へ到着!思っていたより近くて驚きました。

まず向かったのは、みりんや日本酒を醸造している老舗蔵元「甘強酒造」。レトロな建物を鑑賞しつつも、今日のメインの瓦に注目します。


この写真に写っているように3軒の建物がありますが、屋根をよく見てみると瓦の葺き方が違います。真ん中に見える一番古そうな蔵の屋根は、「本瓦葺き」という葺き方だそう。重厚感を感じさせる屋根です。


鬼瓦にはお店の名前「甘強」の文字が力強く彫られています。オーダーメイドでつくられたものなのでしょうか。これまでこんな瓦を見たことがなく他にもあるのかなと調べたら、こういった屋号の入った瓦を探しながらお散歩する人もいるようです。

脇田さんが瓦の中で一番好きという軒丸瓦に目を向けてみましょう。軒丸瓦には家紋や、建物の名前にちなんだ文字を使ったものが多そうです。


「日吉神社」の軒丸瓦は、はっきりと「日」の文字が彫られています。字体も読みやすく、男性的な印象。


織田信長が社殿をつくったとされる「冨吉建速神社」には、織田家の家紋である「織田木瓜」の軒丸瓦がありました。


こちらは「山田酒造」の軒丸瓦。デザイン化された「山田」の文字が彫られています。1文字ではなくて、2文字の場合もあるんですね。

瓦スポットのひとつ「西光寺」では、脇田さんから問題が出されました。


オープンノート.告知記事のイメージ画像にもなっていたこちらの瓦の文様。皆さん、なにに見えますか。
こんな漢字は見たことないし、象形文字でもなさそう。みんなで頭をひねりましたが、残念ながらギブアップ。脇田さんに解説をお願いすると…

昨年の自主企画まちあるきでこちらを案内したときには“正解”がわからなくて、授業レポートには「火厄」と書かれているんですが、訂正もできなかったんです。上半分は確かに「火」っぽいけれど下に「・」があるから違う気がして。
梵字かなと思って図書館で梵字の本を開いて調べてもそれらしい字形は見当たらないし、仏教に関連するなにかの記号…?などと推理したり調べたりしても答えにたどり着かず、ずっとモヤモヤしていたんですが。

あるとき、昭和区にある「法光寺」に行ったら、そこの軒丸瓦にもこんな感じのなんだかくねくねした文様がかかれていて。でもその文様はしばらく眺めていたらふと「法光寺の“光”だ!」と気づいたんです。さらにそこから、「そういえば西光寺のあの文様にも似てるな~あっ西光寺も寺の名に“光”が入ってるじゃん!」と気づいて、「光」の旧字などを調べてみたら、ハイこちら!

と示されたのが、「光」の字源が書かれた資料。その中の篆書体は確かにこちらの西光寺の瓦とそっくり。
なるほど~、一同納得。
西光寺の瓦は、一目で「光」とは読めないもの。どうしてこの字にしたのでしょうか。もしかしたら軒丸瓦をめぐって、当時の寺関係者と瓦職人の間で「ほかの寺とひと味違うようにしたい」とか「この字体、かっこいいですよ!」なんてやり取りがあったのでは、と想像したら楽しくなってきました。

瓦さんぽを続けていくと、いろんなところで「獅子」を見かけます。屋根の上で頑張っている姿がとっても魅力的!無意識のうちにやたらと獅子の飾り瓦を写真に収めていました。カメラロールの中が獅子でいっぱいです(笑)


私はこの「蟹江神明社」にいた獅子がお気に入りです。草原でも飛び跳ねていそうなポーズが躍動感があって好き。愛嬌のある顔もかわいい。


上の写真は「盛泉寺」の獅子。それぞれに表情も違い、りりしい顔やユーモラスな顔など見ていて飽きません。かなりアクロバティックなポーズを決めているのも見逃せない。こんなふうにお気に入りを見つけられるのも、瓦さんぽの楽しみ方のひとつかも。

瓦さんぽの最後は「蟹江町観光交流センター祭人」でふりかえりです。
町内にお住まいの参加者さんは、「地元にあんなに大きなお寺があるなんて知らなかった!蟹江のまちあるきも楽しい」と感じられたようです。地元のひとにとってはいつものまちでも、視点を変えると新しい魅力に出会えるんですね。
エディターのジェイくんは、蟹江町に好印象を抱いたようで「蟹江町ってなにもないイメージだったけど、実際に歩いてみると蟹江川の両岸に昔ながらの瓦屋根が連なっている風景に心癒された」と語ってくれました。

11月下旬とは思えない穏やかな気候の中、瓦さんぽを存分に満喫。のどかな蟹江川沿いの道は、遠くに見える山並みが解放感を感じさせてくれます。蟹江町っていいまちだなぁと感じ入りました。

脇田さんと瓦さんぽをしてみて、瓦にはたくさんの種類や葺き方があること、同じ場所でも建物が違うと瓦の葺き方も違う場合もあることを知り、なかなか奥深い世界と感じました。しかし、まさか自分が瓦にどんなストーリーが隠されているのか想像してにんまりするようになるとは!瓦の魅力恐るべし。

今回歩いたコースはこちら。

地図作成/脇田佑希子

最後に蟹江町のパン屋さんを少しだけご紹介。実は自他ともに認めるパン好きなので、告知記事の片隅にこっそり書かれていた、「パンのまち」蟹江に興味津々でした。
まずはフライングで、集合時間前に駅から徒歩数分の「パンドリーノ」へ。いきなり道を間違えて集合時間に遅れそうになるアクシデントがありながらも、パン屋さん1軒目制覇です。こちらのお店のおすすめは、ふわふわ食感のミニクロワッサン。10個くらい入っていて食べごたえもあります。
もう1軒は、パン好きの間で知られる「ポンレヴェック」。脇田さんがコース途中に組み込んでくれていました。人気店だけあって、次々とお客さんが訪れます。メンバーたちも思い思いのパンをゲット。私は本格的ながらお値打ち価格のバゲットを購入して大満足です。
とはいえ蟹江町には他にもパン屋さんが。完全制覇目指して、また蟹江に行かなきゃ!

写真/ゆみ、大野嵩明、ジェイ、脇田佑希子

ゆみ

名古屋市生まれ、名古屋市育ち。好奇心旺盛で食いしん坊。パンが大好きでパン屋めぐりが趣味である。学生時代は本の虫で物書きを夢見ていたが、不本意ながら事務職を稼業として数十年。子どもたちの成人を機に、ライターを目指して試行錯誤中。
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